職人たちが語ります。
- 漆喰(しっくい)
左官 塩屋伸一 - 既製品の漆喰を利用することが多い今日ですが、無添加住宅は一から現場でつくっています。漆喰の粉が舞ったり、天気によっては練りがうまくいかなかったり、仕上げを均一にするのが難しかったりと、とても手間がかかるんです。ですが苦労した分だけこれまでに覚えた知識や技術を発揮できるので、より誇りある仕事が行えますね。また「漆喰塗り大会」は施主と職人が一緒に仕上げ塗りを行うイベント。施主が身近に感じられるためか、「この人の家をつくるんだ」という意識は、自然と他の現場よりも強くなりますね。
- 米糊(こめのり)
大工 詠 義一 - 修行時代の朝一番の仕事は、米を練ることでした。にかわも久しぶりに使いましたね。親方に怒られながら覚えた「日本の大工の技術」を発揮できて嬉しく思います。ただ、合成接着剤に比べて2~3倍の時間がかかるのは困りものですけれど(笑)。ですがボンドを使わないので、目がチカチカせず、真夏でも現場で弁当が食べられるのには驚きました。休憩も短くなりましたね。施主さんはもちろんでしょうが、無添加住宅は、建てる私たちも安心して仕事ができる住まいなんですよ。これは私が体で感じたほんとうの話です。
- にかわ
建具 西村外二 - ニカワは使うたびに現場で煮てつくります。「まさか現場で鍋をふるうとは…」と、若い職人は言いますが、そこに輪をかけて加えるのが塩と酢ですから驚くのも無理はありません。しかし、塩は防虫性を高め、酢は防虫防腐と固まり具合をコントロールするために加えます。感覚的にはあんかけづくりに似ていますね(笑)。本当に料理みたいですが、決定的に違うのは決しておいしそうな匂いがしないこと。何とも例えにくい、格別な匂いがするんですよ(笑)。鼻が曲がる臭さですけど、もちろん体に害はないですよ。
- 柿 渋
大工 川端義幸 - 私ら大工の他にも、漆喰職人や塗装職人が柿渋を使うけれど、一番苦労するのはどのくらい薄めるかですね。濃すぎても薄すぎてもダメ、ちょうど良い塩梅じゃないと。そして塗る時は焦って塗るとムラができてしまうんです。昔から使ってきた柿渋だけれど、その時々の状況に合わせて、まるで「これでどうですか?」と対話しながら進めるからやはり手間はかかります。ですがそこが腕の見せどころ。職人はこういう仕事は嬉しいんです、ほんとうは。だけど洋風の家に柿渋とは…予想外ですよね。普通は和風建築に使うのが定石ですから。
- 天然石
石工 中條昌人 - これまではボンドを使って施工するのが一般的だったのですが、無添加住宅はそれがNG。最初は戸惑い、すごく苦労しました。しかし現場で当たり前だったボンドの匂いがなくなった今となっては、私自身の体が一般住宅と無添加住宅の違いを敏感に感じています。天然石は割れやすい、屋根石がチンチンに熱くなり夏の朝10時以降は作業ができないなど、確かに苦労する点はありますが、それだけ風合いや仕上がりに独特の魅力が宿るように思います。北陸の気候にも合ってますし、瓦中心の町並みにもうまく溶け込みますよね。
- 天然ムク材
大工 新谷 茂 - 無添加住宅が使う樹種は、アテ、ヒノキ、クリ、ケヤキ、スギ、米マツ、米ヒバ…名前を書くだけで原稿用紙が終わります(笑)。ムク材は乾燥収縮による「動き」や「割れ」がつきものだけど、さらに色々な種類の木を扱うので木の癖を見極めるのはなかなか大変ですね。また、外国産の集成材は、材の乾燥が不安定なのか、開封してすぐにそったり割れたりするものがあります。でもご安心を。米糊とニカワの接着剤でしっかり直したものを使ってますから。だけど、その不均一が逆に魅力を引き立ててしまうのだから、やっぱり木は面白いですね。
- 炭化コルク
工務 岩崎重夫 - 良い素材なのですが、意外と現場では炭化コルクには泣かされています。それと言うのも50ミリのもの厚さがあるので、特に大工の仕事が非常にシビアなんですよね。一方でも喜んでいる職人もいて、漆喰職人は「塗りやすいし、(現場の)匂いもしない」と大絶賛しています。それからこれは現場の「もったいない」の声から生まれたアイデアですが、余った炭化コルクを床下に敷いてみたんです。炭を敷くっていう話を思い出して。これがなかなか良い感じ。吸湿バッチリです。捨てればゴミですが、撒けば立派な建材ですよ。
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